2013年06月18日 東京 夕刊 夕刊be火曜3面
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1281年創建と伝えられる身延(みのぶ)山久遠(くおん)寺。日蓮宗の総本山だ。全国からの参拝者が利用する駅の待合室で、女性3人が盛り上がっていた。「座布団まで用意してくれるなんて、すてきね」。川崎市から来た手芸グループの仲間だという。
花の形をした色鮮やかな座布団を駅に寄付し続けているのは、原間たえ子さん(86)。待合室とホームのベンチに並べる100枚近くの座布団はすべて、セーターや帽子をほどいた毛糸で手編みしたものだ。毎年10月に駅に届け、6月中旬に回収する。洗濯して繕い、だめになったものは新しい物と交換している。
寄付を始めたのは1980年。息子が病気で入院したのがきっかけだった。付き添いのために病院に通う駅で1時間半に1本の電車を毎日待った。「雪が降って寒さに震えたときに、同じ思いをしている人がほかにもきっといると思って」。内職にしていた編み物で出た大量の捨て糸を使って編み、駅に届けた。
それから33年。「座布団がある光景がもう当たり前になっているんです」と駅長の松永健司さん(58)は話す。続けてこられたことにいちばん驚いているのは原間さん自身だ。今では古くなったセーターなどを届けてくれる常連の参拝客もいて、「毛糸がなくなりそうになるたびに、不思議と集まってくるの」。
「ほら見てごらん」。差し出された両手を見ると、左右で指の長さが違っていた。「右の方が長く太く、たくましくなってしまったの」。その指で編み続けることが生きがいだ。「百歳まで続けられたら、たいしたものね」(中村さやか)
●沿線ぶらり
JR身延線は甲府駅(甲府市)と富士駅(静岡県富士市)を結ぶ88.4キロ。
山梨県身延町の身延駅から身延山久遠寺へはバスで約10分。山頂にある奥之院思親閣へはロープウエーで。近くの展望台からは、白根三山など南アルプスの名峰をはじめ、甲府盆地や富士山などが望める。
肉食を禁じた修行僧の貴重なたんぱく源とされた身延の湯葉には、約700年の歴史があるという。身延駅から車で約10分、ゆばの里(電話0556・62・6161)ではさまざまな湯葉料理が味わえる。湯葉作り体験もできる(1000円、要予約)。
●興味津々
みのぶまんじゅうは、久遠寺の参拝客に古くから親しまれている身延町の郷土菓子。ミソを練り込んだ皮にこしあんが包まれ、「みのぶ」の文字が押してある。さっぱりとした甘みが人気だ。身延駅前や久遠寺の周辺に専門店がある。
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確かに冬の寒い時に座布団がないと冷えるものです。座布団があるといいですね。
※朝日新聞デジタルが有料化してから
【ひとえきがたり】
がアーカイブ化されなくなってしまった。
有料化してサービス悪化してどうするんだ!
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ラベル:ひとえきがたり
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