2013年06月22日 大阪 夕刊 2社会
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新聞を読んで思いついたことを、漢字8字に託してチラシに走り書き。それを、もう半世紀近く続けてきた99歳がいる。まろやかな書体とあいまって、今や地域でちょっとした評判だ。
北朝鮮、ミサイル発射かとの記事を読んで、
《東亜之空風雲急告(とうあのそらふううんきゅうつげる)》
昔は無かった「イクメン」の話題には
《夫之子育秘訣何哉(おっとのこそだてひけつなにかな)》
政治には辛辣(しんらつ)だ。
《質疑応答意味不明》
《美辞麗句字句羅列》
「紙幣を刷れば景気がよくなる」という政治家の発言に呆(あき)れた朝は、こう書いた。
《大言壮語唐人寝言》
秋葉忠太郎さん=大阪市西成区=は、毎朝5時から新聞の「すべての記事」を読み、時事問題から季節の話題まで、内容や感想を書き留めてきた。
「短く簡潔に、でも情報は多く。8文字なら、見返すとどんな日だったか思い出せる」という。
1913年、北海道生まれ。画家を目指して上京後、日本大学法学部に通いながら絵の勉強を続けた。反戦運動にもかかわり、「三国同盟反対」「軍事独裁化を阻止せよ」と演説しては、警察に追われた。
卒業後、「五族共和」を掲げた旧満州国の公務員に。「アジアの人々が共存する平和な国をつくる夢は、命をかける価値があると思った」
戦後は妻の実家がある西成に移り、貸本屋を開業。8文字句を始めたのはそのころだ。店のレジ横に無造作に置いていると、客が「これ、おもろいな」。丸みのある人なつっこい字体が地元で評判となり、「壁に飾りたい」と求められるようになった。
地元で芸術活動に取り組むブレーカープロジェクト実行委員会の目にとまり、2011年、市内の展覧会に約250枚を出品。実行委が3月に創刊した地域紙「西成なるへそ新聞」(山田亘編集長)の1面で、8文字句付きコラムを連載することになった。
100歳を超えても、やめるつもりはない。きょうも「無心の境地」で、チラシの裏に筆を走らせている。
(矢吹孝文)
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8字(4字×2行)というのがこの方が編み出したオリジナルの形式なんでしょうね。
字も味があります。
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