2014年04月30日 大阪 朝刊 1社会
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安倍政権が目指す集団的自衛権の行使容認の根拠として急浮上しているのが砂川事件=キーワード=の最高裁判決(1959年)だ。しかしこの判決をめぐっては、憲法が保障する「司法権の独立」が保たれなかったという見方があり、法律家からは「公正さを疑われるような判決をてこに、平和憲法が骨抜きにされようとしている」との声も上がる。反対運動のさなか、米軍基地に侵入した罪に問われた元被告たちは再審請求を検討。事件から57回目の憲法記念日を前に、思いを聞いた。
「政治的圧力のもとで書かれた判決と見るべきだ」
元判事の井戸謙一弁護士(滋賀弁護士会)は、砂川事件の最高裁判決を批判する。2006年3月、裁判長として北陸電力・志賀原発2号機(石川県)の運転差し止めを命じる金沢地裁判決を言い渡した。稼働中の原発では唯一の事例となった異例の判断は、大きな社会的反響を呼んだ。
ところがここ数年、公開された米公文書に記されていた砂川判決の「舞台裏」が発覚し、井戸さんは衝撃を受けた。文書は当時の田中耕太郎最高裁長官が判決前に駐日米公使に会い、「実質的な全員一致を生み出し、世論を揺さぶる少数意見を回避したい」と発言したと記録されていた。
当時、日米間で安保条約交渉が大詰めを迎えており、米軍駐留を違憲とした一審判決が障害になるとみられていた。「元長官が根回しをして、一審判決を覆したのではないか」と井戸さんは見る。
「『わが国が自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうる』とした最高裁判決は集団的自衛権行使を容認した」との自民党・高村正彦副総裁の見解について、井戸さんは「かつて安保条約で政治利用された判決が、政権の都合でねじ曲げられて使われている。司法に対する侮辱としか言いようがない」と指摘する。
砂川事件に詳しい石埼学・龍谷大法科大学院教授(憲法学)も田中元長官の行動に疑問を抱く。「例えるなら傷害事件の判決前に裁判長が被害者と個人的に接触したということ。公正な裁判だったと思えない」
一方、首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)メンバーの坂元一哉・大阪大大学院教授(国際政治・外交史)は「米国外交文書の記述は米国側の直接の圧力を示すものではなく、司法権の独立を疑わせるようなものではない」と話した。
●元被告、「免訴」求める
砂川事件の元被告らは、この夏にも再審請求の申し立てを検討しているが、その理由は「公平な裁判を受ける権利」を侵害されたことだ。米公文書の公開をきっかけに、「公正性」が揺らいだ最高裁判決を事件の元被告は改めて見つめ直している。
普通の再審請求は「無罪判決」を求めるが、元被告らが請求するのは「免訴判決」だ。田中元最高裁長官が事件被害者である米国側と不適切な接触をしていたのであれば、差し戻しを受けた当時の東京地裁は裁判を打ち切るべきだった、という理由だ。
元被告で砂川事件関連の公文書公開にも取り組む土屋源太郎さん(79)は「最高裁は政治に汚染されてはならない。あるべき司法の姿をもう一度問い直したい」と力を込める。
(太田航、阿部峻介)
■砂川事件をめぐる米公文書の骨子
研究者らが米国立公文書館で入手した、当時のダグラス・マッカーサー2世駐日米大使が本国に送った公電には以下のような記載があった。
(1)1959年8月3日付 共通の友人宅で、田中裁判長は駐日米首席公使に対し「砂川事件の判決は12月であろう」と語った。「結審後の評議は実質的な全員一致を生み出し、世論を揺さぶる少数意見を回避するようなやり方で運ばれることを願っている」と語った
(2)同11月5日付 田中裁判長は下級審が覆されるであろうと思っている印象だった。「(東京地裁の)伊達判事が憲法上の争点に判断を下したのは全く誤っていた」と語った
※市民団体「伊達判決を生かす会」の資料などを基に作成
◆キーワード
<砂川事件> 1957年7月、東京都砂川町(現立川市)の米軍基地拡張に反対した学生ら7人が基地内に立ち入り、日米安保条約に基づく刑事特別法違反容疑で逮捕、起訴された。東京地裁は59年3月、米軍駐留は憲法9条違反として全員無罪としたが、最高裁は同年12月に無罪判決を破棄。差し戻し審で逆転有罪となった。自民党の高村正彦副総裁は今年3月、最高裁判決の「わが国が自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうる」とした部分が集団的自衛権行使容認の根拠になるという見解を示した。
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安倍政権は詭弁の上に詭弁を重ねる、牽強付会・我田引水・誠実さなんてこれっぽっちもない悪徳詐欺政権ではないだろうか。
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